ジジイの成功哲学~守る力~素敵な話やでほんま
【世界一ファンキーなジジィから学んだ大切なこと】
今回の写真は、僕が去年、これは軽貨物の仕事をしていた時の写真です。
某スーパーのネット宅配を、我が社が請け負ったのですが、そりゃーもう大変大変。
二時間以内に、十数件、遅れる事なく届けなくてはいけませんでした。
遅配をしてしまえば、場合によっては1発で現場を失います。
常に時間に追われる、ピリピリとした毎日を送っていた事を、今でも強く覚えています。
ケースの水を4ケース持って、団地の五階まで運ぶ。
何故、それが出来ていたのかは、今の自分ではよく解りませんが、出来ちゃうものなんです。
特に僕は、現場のリーダーでしたから、ドライバーの誰かが遅配しそうになれば、フォローに回らなければなりません。
ですから、必死に、皆よりも早く配達を終わらせる必要がありました。
車を使う仕事です。スピードは、法廷速度を守らなければなりません。
つまり、時間短縮は、この二本の脚にかかっているのです。
走りました。一心不乱に走りました。
不思議な事ですが、アドレナリンが出ているからか、疲れは微塵も感じません。
大抵のドライバーは、すぐにヘルプを頼んできます。
そりゃー、無理もない。
30度を超える真夏日でも、条件は何も変わりませんからね。
そんな中、僕に一度もヘルプを頼まない人がいました。
彼はよく、ご自身のことを「ジジィ」と呼びます。
ですから、僕も、ジジィと呼びました。
まだ63歳ですから、ジジィと呼ぶのには違和感があります。ですが、そこは、アダ名ってやつですね。
そのジジィは、30代の男でも辛い仕事を、歯をくいしばって、一人でやってのけるのです。
僕は、そんなジジィが大好きです。
そして、ある日。とてもとても熱い日のことでした。
連勤が続き、疲労困憊のジジィは、何を血迷ったのか、荷積みをせずに、空っぽの車で配達に出てしまいました。
すぐに呼び戻すと、爆笑しながらジジィが戻ってきました。爆笑していますが、どこからどう見ても、無理をしているのが解ります。伝わってきます。
僕はジジィに「なんとかするので、今日は帰ってください」そうお願いしたんです。
ジジィは言いました。
「中平さん!私は元気です!ジジィを舐めたら罰が当たりますよ!w」と。
死んでもしらねーぞ。心の中でそう呟きながら、「頑張りましょう」そう言いながら、背中を叩いたのを覚えています。
世の中の大抵のドライバーは、個人事業主です。個人事業主ですから、保証がありません。働かなければ1円にもならないんです。
ジジィには、高校1年生の娘さんがいます。
ジジィはよく言いました。
「娘の同級生の親父は40代がほとんどだ!だから私は、40代の人以上に頑張らなければならない」
ジジィの、そんな覚悟を僕は知っています。
ですから、無理をさせました。
ジジィの「娘を守る」という決意は、まるで鋼鉄のようだ。
逆に、「誰かを守る」という気持ちは、それだけパワーを与えてくれるという事。
ジジィの頑張る姿を見て、その現場では、弱音を吐く人間は一人もいなくなりました。
ジジィが頑張ってるのに、俺がやれなくてどうする。
皆、同じ気持ちだったのだと思います。
無理な事などない。
やるか、やらないか。
やったら、案外やれてしまうものだ。
ジジィに出来るんだ。あなたに、僕に、出来ないわけがない。
勝手に写真を使わせて頂くので、顔にぼかしを入れました。
左のアンパンマンみたいなのが僕で、右がジジィ。
僕の、ドライバー最後の日に撮影したものです。
ジジィの娘はプロのダンサーになるのが夢です。
ジジィは、ブラックミュージックが大好きです。
ジェイムス・ブラウンを聴きながら出勤します。
僕は、引退する時に、ジジィと約束をしました。
「娘さん専用のダンススタジオ作ってやっから、まだまだ死ぬんじゃねーぞ」
妻、子供、約束。
僕も、ジジィの仲間である以上、必ず守り通すんだ。
ジジィは、きっと今日も元気に、世田谷あたりを走り回っていることでしょう。